読んだら書きたくなりました vol.122
『信長公記 戦国覇者の一級史料』
和田裕弘 中公新書
本屋さんを覗いていると、来年の大河ドラマの主人公が明智光秀ということもあり、関連する本がたくさん並んでいます。そんななか目を引いたのが本書。光秀が仕えた織田信長の記録です。『信長公記』は信長の馬廻衆の一人であった太田牛一が記した軍記物。日記や書簡に比べ、軍記物は史料として一段落ちますが、信長のそばにいた人物が書き記しているため、ほぼ一次史料の扱いとされています。読んでいると私たちがイメージする織田信長像は、この『信長公記』が軸になっていることがわかります。数多くの戦の様子、家臣との関わり、そして本能寺の変と、わくわくしてページをめくりました。この頃では信長にまつわる新説などが出たりしているものの、やはり多くは伝本や二次・三次史料を都合よくアレンジして面白くしているだけではないか? とわかります。天下統一がいよいよ現実味を帯びたとき、明智光秀の謀反によって歴史の舞台から消え去った織田信長とは。雑味を抜いたストレートに近い姿にアプローチするのにもってこいの一冊です。(かつ)
『可愛い戦争から離脱します』
整形アイドル轟ちゃん 幻冬舎
著者がYouTubeに投稿している動画を何度か視聴したことがあります。購入したコスメや服を紹介する動画も多くあり楽しめます。けれど、私はそれ以外の整形後のダウンタイム中に腫れた著者の顔を映したり、整形の怖さなどについて感じたことを語ったりする動画が印象に残っています。本書ではその動画で語った話はもちろん、学生時代に受けたいじめや整形をしようと思ったきっかけが書かれています。さらにどうしてYouTuberという職業を選んだのか、YouTuberとして活動するまでの失敗や挫折についても書かれており、動画を見るだけではわからない著者の少し深いところを知ることができます。著者からのいま悩んでいる人に向けた多くの言葉は、実際に苦労を重ねた人だからこそ伝えられるメッセージであり、心にすんなりと入ってくるものばかりでした。本書を通して、外見も内面も他人と比べる必要はなく、価値観や考え方は人それぞれ違うから、自分が良いと思ったものが一番正しいということを知ることができました。なりたい職業で上位にランクインする話題のYouTuberという職業の裏側も分かる一冊ですので目指している方はぜひ!(もん)