ぷれす通信

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読んだら書きたくなりました vol.121

『マンガで覚える 図解 単位の基本』

三浦基弘監修 つちや書店

典型的な文系人間なので、算数や化学ででてくる「単位」は大の苦手です。たぶん、初めて出合った小学生の頃から単位のことは好きじゃなかったと思います。「1ミリの10倍が1センチ、1センチの100倍が1メートル、1メートルの1000倍が1キロ……。なんで常に1000倍じゃないんだー!!」と、思っていました。この本を読むまでは。本書で、ミリ・センチ・キロといった単位の補助記号(SI接頭語というそうです)が10倍から1000000000000000倍、10分の1から100000000000000分の1まで一覧表になっているのをみて、「なるほど!こういう法則があったのね!」と感心すると同時に「これを学生の時に知っていたら、単位への苦手意識が少なかったかも?」と悔しく感じました。単位って、授業でよく出てくるものですが、系統的に学ぶことって意外とないんですよね。本書は、単位ごとに項目立てて説明されているうえ、名前の由来やなにを基準に設定したかなどの豆知識も載っているので、勉強というより楽しく雑学本を読むといった態で単位に詳しくなれます。単位に苦手意識を持つ小学生や中学生におすすめです。(いく)

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『すばらしい新世界』

オルダス・ハクスリー 黒原繁行(訳) 光文社古典新訳文庫

人間の工場生産、遺伝子操作や幼少期からの条件づけ教育。共同性・同一性・安定性をモットーに人類の価値観が統制された社会「世界国家」が舞台の近未来SFです。幸福を至上善とし、思考・行動パターンがイデオロギーのレベルで画一化され、社会に不満をほとんど感じず、感じたとしてもドラッグを彷彿とさせる快楽薬ソーマを飲んで済ませる人々。「道徳教育はいかなる場合でも理屈抜き」という作中の言葉が象徴的ですが、一見不道徳でも社会構成員のほとんどが日々幸福を共有することが成立する様に、価値観を共有する意義について改めて考えさせられました。皆が幸福を考えずに済むような幸福な社会というのはもはや幸福が無いに等しいのでは? と疑念が湧きますし、個人の自由は尊重されるべきだという立場としてはディストピア社会に感じられ非難したくなりますが、かといってジョンのように「僕は不幸になる権利を要求しているんです」と言い切れない。その世界観を全面的に否定すべきでなく、慎重に答えを模索する必要がある問題を著者ハクスリーは提起しています。真の社会の在り方について理解を深める機会を与えてくれている意味で、「ディストピア小説の決定版」というより「ユートピア小説の試作版」というほうが妥当な気がします。最初の刊行は1932年ですが、古臭さを感じるどころかむしろ新鮮で、その内容の普遍性、先進性に感服します。流石は名作ですね。(くろ)

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