読んだら書きたくなりました vol.111
『孫子とのおしゃべり』
越智直正/小原秀紀 光文社
転職続きの主人公が、唯一長く勤めている現在の会社でトラブルに巻き込まれるところからストーリーが展開されていきます。偶然入った喫茶店で出会った年輩の男性から、戦いの書である『孫子』の教えをもとに問題解決のための的確なアドバイス受け、主人公は次々とトラブルを乗り越えていきます。一見、戦とビジネスは関係ないように思えますが、『孫子』はただ戦での武器の使い方が説明されているわけではなく、将軍が勝利に導くためにどのように兵を動かしていくかを書いたものです。そんな『孫子』の内容に沿って話が進んでいく本書は、他のビジネス書よりも実践的で、部下を指導する立場にある人やチームワークを必要とする仕事に就いている人は読んで損をしないでしょう。最初から『孫子』を読んでビジネスに応用させるのではなく、会話形式で要点を絞って書かれている本書を読むほうが理解は深まり、より早く仕事に生かせるのではないでしょうか。(くろ)
『印象はしゃべらなくても操作できる』
木暮桂子 サンマーク出版
「見た目なんかより、中身でしょ」とビジネスのシーンで軽々と口にするのはちょっと待った。もしかすると、その見た目のせいで評価を下げているとしても放っておけますか? なにも服装のことに限りません。名刺入れや筆記具、挨拶の仕方、プレゼンのときの視線の動かし方、会食のときの振る舞い等々、全てがあなたの仕事の中身を表しているのです。かかとのすり減った靴を平気で履いている人や襟や袖口が汚れている人に、行き届いた仕事を求められるでしょうか。実は思っている以上に、非コミュニケーション空間での印象は強く相手に訴えかけるものなのです。仕事の中身というソフト面ばかりが、デキる人材の条件ではありません。外見や振る舞いというハード面を疎かにしていては「惜しい人」で終わってしまいかねません。歩き方や、握手の仕方、沈黙の取り方、立食パーティーやゴルフ場での振る舞いなど具体的に説明してくれるので、かゆいところに手が届く内容になっています。実績に対してどうも評価されないと感じている人、また立ち居振る舞いに自信が持てないという方は、本書にその答えや、解決の糸口が見つかるかもしれませんよ。(もん)