読んだら書きたくなりました vol.106
『いーすとけん。 パンがいる生活』
kodama 幻冬舎
ふわっとした絵がとても目に優しい本です。パン屋さんで買った“いーすとけん”(イースト菌+犬?)が日ごろの疲れをいやしてくれます。普段いーすとけんはお利口にしていますが、たまにいたずらをしてしまいます。そんなところもかわいい! なついてくれるとお気に入りのものを見せてくれたり、お腹を出してなでてアピールをしてきたりする姿にはほっこりします。仕事で嫌なことがあっても家に帰ればいーすとけん達が出迎えてくれるので明日も頑張ろうと思えますよ。忙しい毎日を送っている人はいーすとけんを見習ってゆっくりのんびり過ごしてみましょう。動物好きにはたまらない一冊です。いーすとけん以外のパンやケーキのイラストも美味しそうなのでそこに注目して読んでみるのもおすすめです。パン屋さんでいーすとけんを見つけたら買って(飼って?) みてはいかがでしょうか!(いく)
『アカガミ』
窪美澄 河出文庫
若者の多くが恋愛や結婚を望まず、果ては生きることを放棄する近未来。そんな若者の一人であるミツキは、国が少子化対策として設立したお見合いシステム「アカガミ」への参加を機に生きがいを見出していくが。ほとんど仕事だけで終わる単調な日々を送り、他者に無関心だった人が未知の恋活・婚活に取り組む。その心理を描いているだけでも興味深いですが、本書の要はやはりそうした場を提供する「アカガミ」の世界観にあります。巷のマッチングサービスを凌ぐアルゴリズムによる相手の選抜、カップルへのサポート体制が行き届く施設の提供。そんなアカガミの在り方に対してある人物が口にする「大事にされすぎていることが、ほんの少し息苦しい」というセリフが印象的で、本来自分が管理することを外部に委託することの功罪を考えさせられます。私はミツキらカップルの迎えるラストに今後の日本社会を生きる上での希望を見ましたが、果たして他の読者は何を感じ取るでしょうか。ぜひ読んでみてください。(かつ)