読んだら書きたくなりました vol.69
『写龍 しあわせを呼ぶ本』
斎灯サトル サンマーク出版
「写経」「写仏」という言葉は聞いたことがありますが、「写龍」は初めてではないでしょうか? そうです、この本のために創出した言葉なのです。写経や写仏と同じように、龍の絵をなぞることでご利益を得るという試みです。なぜ「龍」なのでしょう? 天井画絵師として、神社仏閣に龍の絵を描いている著者の斎灯サトルさんはこう説明しています。「龍とは、雲・川・風の流れ、人・お金の流れ、あらゆるエネルギーの流れを表したもの」であると。「龍=流」なのです。だから龍の絵をなぞることで、よい人生の流れに乗ることができるのです。斎灯サトルさんの墨色で描かれた様々な龍の絵を、好きなペンでなぞる、色を塗る、自分でアレンジする。はみ出したって構いません。無心で、あるいは楽しみながら写龍をしてみれば、思いもよらない幸運が舞い降りてくるに違いありません。私もさっそく「龍=流」に乗るべく、写龍をしてみます!(まち)
『破壊者』
松浦勝人 幻冬舎
松浦勝人さんといえば、エイベックスを起ち上げ、浜崎あゆみやEXILEといった時代を牽引するアーティストを世に送り出した音楽業界のビッグネーム。2009年10月から2018年5月まで、雑誌「GOETHE」に「素人目線 松浦勝人の生き様」として連載されていたものの単行本化です。300ページ近くあり、2段組みで文字びっしり。9年近い言葉がつまっていますから。飽きることなく読めるのは、音楽業界の変遷やメディアの移り変わりを時系列で再認識できることや、経営者のまなざしを知ることができること、それらをわりと飄々とした感じで綴っているクールさが心地よいから。横浜の13坪の貸しレコード店に始まり、小室哲哉とタッグを組み、その後は自らミュージシャンを生み出して時代を築き上げた、松浦勝人の魅力を知るにはベストの一冊です。ダンスミュージックでお台場を巨大エンターテインメント会場にしてしまう情熱、ライバルを徹底的に叩き潰す闘志、ひたすら釣り糸を垂らすお茶目?な様子、不眠症に苦悶する日々、そして経営者としてさらなる高みを目指す努力……。さまざまな顔を窺い知ることができます。カバーもじっくりと見てくださいね。(もん)