2010年8月号
デッドゾーン 字形類似(7)
これまで列挙してきた字形類似を見て、どのように感じましたか?ワープロ原稿ではありえない文字が圧倒的ですね。今のゲラの大半はワープロ入力ですが、実際はどうなのか、事前に知らされない限り、校正の段階では分かりません。「どうせワープロ入力なんだから…」と甘く見ていると、痛い目に遭いますよ。そんな思い込みを排除して、真摯に「虫の目」で当たるのが、プロの校正者というものです。
「溌刺」⇒「溌剌」(はつらつ)
「練瓦」⇒「煉瓦」(れんが)
「桜閣」⇒「楼閣」(ろうかく)
「助骨」⇒「肋骨」(ろっこつ)
「官史」⇒「官吏」(かんり)
「蹌跟として」⇒「蹌踉として」(そうろう)
「與論」⇒「輿論」(よろん)
「一沫」⇒「一抹」(いちまつ)
「炸烈」⇒「炸裂」(さくれつ)
「詑びる」⇒「詫びる」(わびる)
「悪竦」⇒「悪辣」(あくらつ)
「西歴」⇒「西暦」(せいれき)
「妲御」⇒「姐御」(あねご)
「戌辰戦争」⇒「戊辰戦争」(ぼしんせんそう)
「甲胄」⇒「甲冑」(かっちゅう)
「(鍋島)閑臾」⇒「(鍋島)閑叟」(かんそう)
「戦慓」⇒「戦慄」(せんりつ)
「棟樹」⇒「楝樹」(れんじゅ) ※「せんだん」とも
この一冊!『例解同訓異字用法辞典』

『例解同訓異字用法辞典』
例解同訓異字用法辞典
浅田秀子 著
東京堂出版(2003/9)
532ページ/四六判
978-4-490-10640-4
4,095円(税込)
「堅い/固い」「勧める/薦める」といった同訓異字の使い分けに迷って国語辞典や用字用語集を開いてみたら、「本ごとに違う…」という弱った事態に陥った経験、おありではないでしょうか? 日本語の語義(言葉の意味)と漢字の字義(文字の意味)のズレだからと言われても、なかなか割り切れませんよね。
今回ご紹介するのは、同訓異字に絞った用法辞典。使い分けの理由を詳しく指南してくれる納得の一冊です。校正ツールとして役に立つのはもちろんですが、巻頭10ページほどのエッセイがこれまた面白い。ひとつの表現に複数の漢字を当てて訓(よ)む、日本語の奥深い世界を堪能させてくれます。(雅)